直接的な反応を見る限り、『夢』と『現実』の間の大きな落差から来る戸惑いが感じられた。
キャラバンに参加した全身性障害を持つ人達は、その多くが主体的に生活を創り上げているとは言い難い。生活者としての実感が伴わない中での『夢の車』との出会いは、『ほしい物』ではあっても、『必要な物』ではなかったようである。
車は単に移動のためだけの道具ではなく、仲間や家族や恋人と楽しい時間を共有する空間であったり、生活の一部を持ち込む場所であったり、仕事場であったり、工場であったり、倉庫であったりetc、その機能は千変万化、多種多様である。従ってその形や機能は使う人の目的に合わせて変化を遂げてきている。
障害が重くなればなるほど、既存の社会環境に自らを合わせて生きることが困難になる。だからこそ、一人ひとりの身体的特性に合わせた道具の開発が急務である。それらの道具を使いこなすことによって『豊かで幸せ』な人生を創り上げて欲しい。
結び
Joy Projectの1997年度の活動は日本の社会に衝撃波を興した。現実の車を社会に提示することで、きっかけを作る作業は一応の成功を収めたと評価している。しかし1年間を振り返った今、現実はまだ扉が開き中を覗ける状況になっただけだとも感じている。
1998年度は腰を据えて現実の社会に横たわる諸問題を解決するための基礎調査と、キャラバンで出会った多くの人達との有機的な人間関係作りとネットワークの構築を軸に、移動問題を中心に据えJoy Projectらしく、明るく前向きに活動を展開し続けたいと考えている。
最後に、これまで数多くの個人や団体の皆様のご支援をいただき、何とかここまでたどり着くことができました。事務局スタッフ一同、心よりの感謝を表明するものです。
浅野宮城県知事と(宮城県仙台)
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